ダブルバレルズとオレ

じつはオレは、山本貴嗣先生とは中学校からの同級生であり、高校卒業までの約6年間、無二の親友として毎日のようにツルんで行動していた。思春期から青年期にかけての、たいていの男にとって人生でもっともシップードトーで参感な時期を、ともに過ごした「相棒」だったわけである。その頃のオレたちは、まるでダブルバレルズのテッカとタマのようだったと言えなくもない。

オレが初めて山本先生に(相棒だった当時は「アツジ」と呼び捨てにしていたものだが)会ったのは、小学校6年生の時だったと記憶している。休み時間、校舎からトイレに続く渡り廊下をひとりで歩いていると、彼が後ろからオレに追いついてきた。その当時、山本貴嗣は「オール5の天才少年」として、学年内で有名な存在だった。だからオレもすぐに「おお、こいつがあのオール5の山本貴嗣か」と気づいた。オレたちはそのまま言葉を交わすこともなくトイレに行って、並んで小便をした。そのとき、突然、オール5の山本貴嗣が話しかけてきたのだ。「お前、エルビス・プレスリーをどう思う?」ちょうどその当時は、すでに過去の人と化していたエルビスが、「エルビス・オン・ステージ」のヒットなどで、ショービジネスの世界にカムバックしてきた時期だった。「嫌いじゃないよ」と小便をしながらオレが答えると、彼も小便をしながらうれしそうに微笑んで、「『この胸のときめきを』っていい曲だよな」と言った。小学生でエルビス!ずいぶんマセたガキである。そうなのだ、山本貴嗣は早熟な天才で、マセていたのだ。彼は普通の子が知らないようなことをいっぱい知っていた。おそらく小学校5年生の当時でも、たいていのことで大人を論理的に言い負かすことができたに違いない。

彼と交流したことで、と田舎の無知なガキだったオレの「世界」は、一気に広がった。SF小説も、彼がオレに教えてくれたもののひとつだ。中学のときには、「電撃スパイ作戦」という超能力もののTVドラマに触発されて、ふたりで超能力もののSF小説を合作したこともある。高校の時には、大学ノートにエンピツ書きというおそろしくシンプルなスタイルで、ふたりで共作して『燃えよドラゴン』を勝手に漫画化したりもした。(笑)

三つ子の魂百まで、と言う言葉があるが、『メタルマックス』というゲームは、まさしくそのような三つ子の魂のリフレインの中からこの世に生まれ出たものなのだ。

その山本先生が『メタルマックス3』を題材にした漫画を描くと言う。

山本先生の描く漫画と言えば「戦う美女」である。それもう彼のライフワークとも言えるし、永遠のテーマと言わせていただいて問題ないであろう。だからその漫画の主人公が女だと聞いたときも、驚きはなかった。美女とクルマ、と言う組み合わせは、自動車のTVコマーシャルの定番コンセプトのひとつになってるくらいだから、まったくもって文句ナシである。

ただ、原案という立場から、ひとつだけ無理やりなお願いをした。それが本作のヒロインのひとり、テッカだ。

一番最初の案では、ヒロインはタマ(その時点では名前はまだ未定だったが)だけになるはずだったんだけれども、もうひとり女を加えてふたり組みにしてみたらどうだろうか、と。

彼女の「もと」になった絵は、もう何年も前から、山本先生のホームページ「あっこ屋」(http://www2.ttcn.ne.jp/atsuji-ya)のとあるページに、没ったキャラクタースケッチとして掲載されていた。オレはそのキャラスケッチを見るたびに、このキャラいいよな~、没らせ~、のはもったいないよな~、と思っていたのだ。過去の山本作品には女主人公がたくさん登場するが、ふたり組みの女主人公はいなかったから、新しい試みとして悪くないんじゃないかという思いもあった。その提案は山本先生から快諾をいただき、その結果としてダブルバレルでのふたり組みが誕生することになった次第である。

願わくば、彼女たちが読者の皆さんを十分に楽しませ、そして読者の皆さんから愛されますように!

2011年 2月吉日 宮岡 寛


山本貴嗣より訂正補足/ミヤ王氏との出会いはもしかしたら中学1年だったかも。確かに小学校のとき成績よかったけどオール5というのはデマです。なにより体育は小学校のときは2、中学高校は3でした(笑)

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