制限
今回のDS版のテーマは『制限』です。
DSという制限された音の世界の中で、どれだけの物を表現するかは、挑戦でもありました。あえて言えば、初期のメタルの挑戦と同じようなものだと言っても過言ではないかもしれません。前回のように空間系の音作りや、生のギターサウンドみたいな物は出来ません。でも想像させる事は出来ます。FCやSFCのサウンド作りも想像力を多分に利用しています。今回もかなり想像力に頼ってる部分もあります。ただ創っていくと結局やりたい方向にググっと引つ張っていってしまって、プログラミングの園部さんに相当迷惑をかけました。音数も音色も実はやりたい放題やってしまっていて、よくここまで再現してるなって驚いた事も多々ありました。
FCやSFCであの時代にトライした事はそれなりの成果を上げたと思っているので、やはり。DSならではの音を創りたかったことは確かです。ところが実際に音を出してみるとあのスピーカーでは低音が全然鳴らなかったりして、まだまだ手直しをする時間をもっと欲しかったのが本音です。まあ僕が去年一年を別の仕事で押さえられていて、かなりきついスケジュールの中で書かなければならなかったのです。そうとう進行関係の方々にご迷惑をかけました。ここでお詫びしておきます。
どうしても音楽を鳴らさなければならないシーンが多いGame Musicと言うものは僕が想像するより遙かに音楽を必要とします。(僕自身はかなりプレイするときに音楽を下げる傾向にはありますが)なので、実は音数をぐっと減らして、シーン
の中で音楽があまり物言わないと言うのが僕のGame Musicの理想でもあります。とは言っても、メタルシリーズは毎回なかなか重い映画的なテーマを打ち出すのでそう軽い音楽を付けるのもおかしいし、SFC版でああいった音を創ってしまっているので、その方向にと期待されている部分もあり、ずいぶん葛藤がありました。はっきり言うと、あの方向はFC、SFCでは良かったのです。リアルである必要がないので、足りない部分を想像で聴く方が足すからです。ところがPS以降、こういった携帯機でさえ音がりアル指向になってきたので、逆に音が本物に近くないとダサく響きます。そのバランスが意外に難しかったです。まあ技術的な蓄積もあるし、アイデアも色々湧いているので、次回作(もちろんあればですが)はかなり面白い事が出来ると思います。やはり新しいハードは一度やらないとわからないものですね。
音楽的なテーマは今回も【未来の西部劇】ですが、今回は宮岡氏が最初から最後まで関わる作品なので、PS2版とは別の意味の緊張がありました。宮岡さんは元々バンドをやっていた事もあって、音楽大好きですから、氏がまず楽しんでくれる事がメタルシリーズの音楽を支えていると言っても過言ではないです。FC、SFCのリメイク作も少ないですし、宮岡氏が創り出した世界観を音楽で表現するところまでいっていれば嬉しいのですが。
門倉聡プロフィール
1959年5月25日神奈川県鎌倉市生まれ。三枝成章氏に師事し、横須賀高校在学中からスタジオプレイヤーとして活動を始める。東京芸大作曲科卒業。その後(株)フライングポックスに所属し、1994年2月(有)ソレイユミュージックを設立。主な仕事に、布袋寅泰、山下久美子、サザンオールスターズ、工藤静香、櫃原敬之他多数に登る。また映画音楽、CF音楽、ゲーム音楽など多岐にわたり活躍中であり、現在までに数々のヒット作に係わる。
門倉聡の仕事まわり(代表作群)produce/compose/arrange大!!妙子、サザンオールスターズ、工藤静香、山下久美子、槓原敬之、他多数CINEMA/TV-DRAMA/JAPANIMATION(代表作)
アニメ映画「ウィンダリア」音楽監督、テレビアニメ「魔神英雄伝•ワタル」音楽監督、松竹映画「機動戦士ガンダムF91」音楽担当、他多数
GAME MUSIC
メタルマックスシリーズ、ファミコンジャンプ2、天空のレストラン、いただきストリート3、他多数
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