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インタビュー:デザイナー・山本貴嗣

[戦車とSFを愛する宮岡氏の朋友]

いまから約20年まえに発売されたファミコン版『メタルマックス』から、パッケージイラストやキャラクターデザインなど、ビジュアル面での世界観を強く支えてきたのが漫画家の山本貴嗣氏。確かなデッサンカ、SF・軍事・武術方面への造詣の深さで知られる山本氏に、シリーズとの関わりや『メタルマックス3』での仕事について語っていただいた。

——それではまず、山本さんが1作目の『メタルマックス(以下MMと略)』のキャラクターデザインを引き受けたときのいきさつからお願いします。

山本:もうストレートに、宮岡君から「ゲームのキヤラクターデザインしない?」と頼まれまして。いや、それまで私はテレビゲームというものにぜんぜん手を出していなかつたんですよ。ゲームをやれば、きっとどんどんムダに時間が消耗されるに違いないと、勝手に頭の中でイメージができていて「あんなムダなものをするものか」と(笑)。

——確かに一度ハマつてしまうと、かなりの時間は取られてしまいますからね。

山本:でも、いざ仕事として依賴を受けると、それはそれでおもしろそうだからやってみようと思いまして。実際の作業は、宮岡君のほうから「こんな戦車を描いてくれ」とか「こんなモンスターをデザインしてくれ」というのが、彼のラフ絵のついたメモの形て、送られてきて、その内容を私が勝手にふくらませて送り返すという形で作業を進めていました。

——では、ゲームの内容については、ほとんどもわからない状態で?

山本:荒廃した近未来が舞台で、怪物や悪党を戦車に乗った主人公が戦って倒す。というところまでろうじて聞いていたという感じですね。ただゲームというものがまったく分からなかったので、完成品がどういうものになるのかということもまったく予想がつかない状態でした。ファミコンの漠然としたイメージだけはあったんで、そんなに高密度は再現できないのかなとは思っていましたけれど。「これぐらいの解像度だから、これぐらいのデイテールで描けぱいいな」というのを考え始めたのは、スーパーファミコン版の『MM2』になってからです。もう最初は、どれくらい描き込めばいいのかというバランスすら手探りでやっていたという感じでした。

——とりあえず描き込めるだけ描く?

山本:そういうところですね。だから完成して届いた『MM』が、私が生まれて初めて触ったテレビゲームだったんですよ。

——そうなんですか?実際にご自分で作られたゲームをプレイしての感想は?

山本:もう、何というか……ちょうどそのころは、アシスタントの子がふたりほどウチに来ていたんですが、僕が仕事しているあいだはずっとコントローラを交代で持ってもらって、「レベル上げといて」って頼むくらいに(笑)。僕もメシ食って寝るとき以外はずっとプレイしていて、結局3日ぐらいでエンディングまで行きました(笑)。

——それは早いですねー。

山本:そのあともガンガンやりこんで、最終的にはレベル99まで行きました(笑)。いやあ、大学時代の宮岡君ってわりと遊び人のところがあって。1年目は真面目に行ってたみたいですけれれど。2年目から雀荘に行ったりゲームセンターに行ったりで学校に来なくなっちゃって(笑)。もー、あいつはホント適当なやつだなあと思っていたんですが、まさかそのゲームセンター通いがプロになろうとは思わなかったですね。『MM』が完成してプレイしたときに宮岡君に「いや、感動したよ。おみそれしました」って電話した覚えがあります。

——ゲーム中のキヤラクターデザイン以外にも、『MM』、『MM2』、『MMリターンズ』と続けてパッケージの絵も描かれてるんですよね?

山本:そうですね。あ、そういえばいまでも覚えているのが、『MM2』のパッケージイラストを見たDr.マシリトさん(当時の「Vジャンプ」編集長の鳥嶋和彦氏)から、「山本君、これイラストがタイトルロゴに負けてない?」って言われてビキッときちゃって(笑)。よーし、じゃあつぎは気合入れたろーじゃん、となったという思い出ですね。パッケージは『MM』のときは好き勝手に描かせてもらえたんですが、『MM2』は販売元であるデータイーストさんか宮岡君の指示で、こんな感じで描いてほ出しいというイメージをもらって描いたものなんです。だから自分としては、ちょっとおとなしいかなと感じるイラストで。ですから『MMリターンズ』のパッケージを描くときに、私の好きに描かせてくださいとこちらからお願いして。おかげで今度はマシリトさんにも納得していただけましたし、確か『MMリターンズ』は、『Vジャンプ』でも好意的な取り上げ方をしていただけた記憶がありますね。

——ここに当時の攻略本があるのですが、いまイラストをご覧になっていかがですか?

山本:いやあ、どれも思い出深いですね。プレイヤーとしても触れていますし。とくに『MM2』のときだったかな……パーティーの犬がすぐ死ぬんでレペル上げに苦労したこととか(笑)。

——確かに昔は死にやすかったんですよね、犬が。

山本:ちょっと話はズレますが、うちの女房って、ハードボイルド好きのクールなおばちゃんなんです。たとえば私自身が自分の作品の泣けるシーンを描いていてウルッとくるときがあるんですが、そういうときに「お前が泣いてんじゃねえ!お客さんを泣かせるんだ」って言われるような感じで(笑)。それが『MM3』の予約特典の漫画(『夢見るカルメン』)を描いてるときだったかな、雰囲気を出したくて門倉聡さんの作られたサントラCDを引つはり出してきて久しぶりに昔の曲を聞いていたら、「メインテーマ」の曲を聞いていて僕がウルツときちゃって。そのときも女房にはどうせまたクールに返されるんだろうなあと思いつつ、「やっば、いいよね~」って言つたら、女房がヘッドホンを耳に当てながら、眼鏡外して目頭こ手を当てて「……ポチを殺さないために、どんだけ苦労したか……」ってポツリ(笑)。

——奥さんにはよほど辛い思い出があったんですね(笑)。ちなみに『MM3』はもうプレイされたのですか?

山本:それがねえ、忙しくてまだエンディングまではたどり着けてはないんですよ。そのまえにインターネット上で観られる漫画誌、フアミ通コミッククリアで連載中の『メタルマックス3双銃身の魔女』の仕事が忙しくなって、それどころじゃなくなっちゃいまして。ちょうどいま描いている次回の原稿が、極楽谷が舞台になっていたんですけれど、「そういや俺、デ力プリン倒してない!」って思い出して、攻略本を引っ張り出してデカプリンの場所を調べて倒しに行きました。

——インターネットで連載されている漫画のほうでも極楽谷が出てくるんですね。そういえば第2話ではホホアナも舞台として出てきましたしね。

山本:あれねえ、ホホアナの資料があまりなくて苦労してね。プレイしているDSの画面をスクロールさせていって、それをデジカメで撮ったものをブリントアウトしたものを切り貼りして、ホホアナの全体図作ったんです。で、それを資料代わりに見て描いたりしてましたね。

——それはすごい。マメなんですね(笑)。

山本:僕はそういうこと執念深くやっちゃうほうで、『MM2』のデバッグ作業に参加していたときにワールドマップを全部ビデオプリンタで出力して、それを繋げてすっごく大きいマップ作っていたら、データイーストの人から「うちにもこんなのありませんよ!」とか言われて(笑)。まだ当時はモノクロのプリンタしかない時代です。

——ゲームの初回限定版の特典としてついた描き下ろしの漫画『夢見るカルメン』は、当然ゲームを触っていない段階で描かれているんですよね?お話の内容はどうやって考えられたんですか?

山本:うーん、そのときはシナリオの冒頭だけは見せてもらっていたかな。あとはタロミオとか冷血党の設定も教えてもらってぃたので、そこからゲームの本筋に差し障りない範囲で話をふくらませて、漫画用のオリジナルストーリーを作っていきました。

——ゲームブレイ後に漫画を読んだのですが、タロミオが予想以上に男前でびっくりしました。

山本:この漫画は、これからゲーム本編を始める人が読むものとして、作品世界へ入り込むための滑走路になるような話が描ければいいなと思っていましたね。でもこの漫画のせいか、実際にプレイするときに「サブロミオ憎し!」となる方がけっこう多かったとうかがいましたが(笑)。

——本物のサブロミオは、ちょっとかわいそうなことになってしまっていますけれど。

山本:サブロミオは暗殺されて冷蔵庫に入っているんでしたよね?

——ちなみに、現在連載されている『双銃身の魔女』は、宮岡さんが原作を書かれているんですか?

山本:宮岡君は原案ですね。ただ彼とはかなり電話で連絡を取りあっていて、「ここはもっとこうしたほうがいいんじゃないか」とかの意見をもらったり、參考にするためにちよっと彼シナリオ書いてもらったりとか、かなり密接な二人三脚でやつているところがあります。よく“原案”っていってもぜんぜん参加していないような作品もあるじゃないですか?でもこの作品には、宮岡君の意見をかなり取り入れてます。お客さんのなかには、ゲーム中の登場人物をもっと出さないのかという人もいらっしやるんですけれど、あんまり出しても……なんだろう、ゲームをプレイしてイメージができてしまっているものを、イメージが違う形で大きく出すのはよくないかなあと思って。だからゲーム中に出てくるキヤラクターは、あまり大きくは出さないようにしています。ただし、ゲームからあまり離れ過ぎてもダメなので、少しは顔を出すこともあるという感じでランスには気を使っています。

——たとえば漫画もそうですし、ゲームの制作現場でもそうなんですが、山本先生の考えと宮岡さんの考えが食い違って言い争いになったりは?

山本:争いにはならないですね。宮岡君ってあまり争わない人なので。非常に包容力があるというか、ときにはズボラとも表現できますが(笑)。彼と僕とは同じA型なんですけれど、かなり対対照的でね。私はもとは気性が激しい人間で、彼は逆に鹰揚な人間で。だからこの年まで親友づきあいできたのかなと。似た性格だったら、たぶんどこかで激突して別れていたかもしれないですね。そういう関係なので、奥齒に物の挟まったような言い方をせずにやり取りできたのがよかったです。

——ご趣味はおふたりとも近いですよね。宮岡さんの戦車の知識なども山本先生の影響だとか?

山本:それはあるかもしれませんねえ。

——『MM3』では,MBT70とかのマニアックな戰車が多数採用されてますしね。

山本:あの戦車は、連載漫画のほうでも出そうかって予定があるんですけれど、じつはMBT70って試作機で資料がなさすぎるので、「別のタンク描いていい?」ってこないだも電話で相談してて(笑)。

——宮岡さんとのもうひとつの共通点として、SFファンという部分もあるということですが?

山本:そうですね、SFは本当に好きですね。宮岡君とは中学校の文芸部でもいっしよだったんです。当時はいまみたいに漫画研究会なんてありませんでしたから、文芸部でいっしょにSFを書いたり、文芸部とは関係ないけれどSF漫画の合作をしたりして。だからSFやファンタジー、特撮といった分野では、共通認識が多いですね。たとえば『MM3』で、ツングースカ系のクルマを改造していくと、〇〇ムウロメツって名前になりますよね。あのネーミンクに私はタツチしていないんですが、じつは私も知っている名前でして。イリヤ・ムウロメツってご存知ですか?ロシアの英雄なんですが。

——いや、それは初耳ですね。

山本:イリヤっていう英雄のお話なんですが、その話をもとにソ連時代に作られたファンタジー映画があって……邦題がなんだったかなあ。私が観たのはビデオのころで、『キング・ドラゴンの逆襲』とかいう実もフタもない別なタイトルがついていて(笑)。

——ちょっとお待ちください、パソコンで検索してみますが……あ、これでしょうか?1956年、91分、『キング・ドラゴンの逆襲/魔竜大戦』。

山本:あー、それそれ!もうアホみたいなタイトルでしょ?(笑)この映画ってね凄いんですよ。ソ連時代って、お金をかけるときには採算を度外視して無茶苦茶かけていたじゃないですか。この映画は、あの時代の『ロード・オブ・ザ・リング』みたいな感じでけっこう本気で撮ってるんです。で、主人公のイリヤが地上に降りてきた竜と対決して、その首を斬り落とすシーンがあるんですが、その竜がまず実物大のセットなんです。で、そいつの首が3つあって火を吐くんですが、それもロのところにソ連軍の本物の火炎放射器が仕込んであって、合成じゃなくて生で火を噴くんですよ!

——それはちよっと見てみたいですね。

山本:まあ、そういうものを見ていまして、たぶん宮岡君もそれを知っていて、戦車にその名前をつけたんじゃないかなあと。

——本当におふたりの共通認識というか……。

山本:ふたりの一般教養ですね(笑)。

——そろそろ『MM3』でのお仕事の話に移らせていただきます。まずは具体的な仕事の流れをお聞きしたいのですが。

山本:これは第1作から変わっていなくいて、まず宮岡君のアイディアメモをもらって、こちらがそれをふくらませて返し、「ついでにこういうの思いついたんだけどどうかな」って渡すと、それが採用されていたり。そろいう感じですね。

——おたがいにアイディアを補完しあうというか、ふたりで増幅させるという感じですね。

山本:そうですね。第1作から登場している敵のうろつきボリタンなんかは、私が思いつきで何かを紙の裏侧に走り描きしたヤツを渡したら、それが正式採用になつてしまったという(笑)。

——わりとアバウトな部分もあるんですね。

山本:そういえば、最初の賞金首のユムボマに関してなんですが、数日まえにツイッターで上海の人から質問けまして。「ユムボマはカニなんですか?クモなんですか?」と。それで何だったかなあと自分も思い出せなくて、設定を引っくり返してみたら、宮岡君から来たときには6本足で両手がついてて、片手が火炎放射器で片手がシャぺルってデザインだったんですよ。でもそれを私がいじっているうちに、節足動物ではあるんですがクモともカニともつかないものになったと(笑)。

——ユムボマは、いちばん最初の賞金首だというのは聞かされていたのですか?

山本:そうですね。早い段階で出てくる敵だということは聞いていました。

——やはり最初に出る敵と終盤に出る敵では、デザインも意図的に変えているんでしょうか?

山本:そうですね。あとのほうに行くほど凝ったデザインのほうがいいかなと。敵ではないですが、最後の舞台となる潜水艦のジャガンナートは、けっこう凝って作りましたね。レールガンの発射プロセスとか。

——発射プロセスは、山本先生の設定図ですでに入っているんですね。これにはどれぐらい山本先生のアイディアが入っているのですか?

山本:そうですね……レールガンのついた原子力潜水艦という構想はもらっていましたけれど、その形とか発射のシークェンスは私の好きにやらせていただきました,描いているときはテンションを上げようと思って、自分が撮った写真を合成して、「江ノ烏沖を航行するジャガンナート」とかタイトルつけて、その画像をメールに添付して送ってみたり(笑)。

——あとは、やはりソイヤウォーカーでしょうかね、今回の目玉デザインは。

山本:いやあ、それはかなりおみこしの資料を探し回ってまとめましたよ。これも宮岡君から「おみこしの戦車を作ってくれ」って言われましたね。

——この脚が山本先生っほいデザインですね。

山本:ああ、そうですね、これは私の漫画の脚ですね。いやあ、これを超えるネタ戦車って、つぎに出せるかどうか不安になりますよね(笑)。

——ちなみに没になつたデザインはあるのでしょうか?

山本:先方に時間の余裕がなかったのか、あんまりダメ出しを食らったことありませんね。あと私は漫画は止め絵じゃなく実写の動画が頭に浮かんで、それを漫画に落とし込んでいくように描いているんです。ジャガンナートのレールガン発射シーンとか、クラウドゴンの動きとかは、描いているときにすでに頭に浮かんでいるので、アイディアが出ないとかの苦労はあまりないですね。

——クラウドゴンを倒すと虹が出るというアイディアも、ラフの段階で決まっているんですね?

山本:それもフォトショップで虹の画像を作って、添付ファイルで開発スタッフに送ったんですよね。これ使ってくださいって。確か虹は宮岡君も軎んでくれたんですよ。

——もう、絵コンテやアイディア出しまで山本さんがなさっている感じですね。すばらしいです。

山本:恐れ入ります

——それでは、苦労されたことは……?

山本:どれも楽しんでやってますから、あまり苦労してないんですよね。さきほども少し言ったように、私ってひとつのものに凝るタイプなんで、漫画と違って細かい設定が描けるのもうれしいですね。細かいギミックとか考えるのが好きですから。苦労話……あるといいんですけど、ないんですよね。いまのファミ通コミッククリアでの連載も、苦労といえば休みがないことぐらいで(笑)。

——では逆に、会心のデキというデザインは?

山本:さきほど言ったジャガンナートやクラウドゴンは気に入っていますね。あと今回の『MM3』はチームワークで1+1が2じゃなくて3になるというのを実感できたのが感激でした。私は個人主義というか、自分で好きなようにやりたいので、スポーツで言うと団体競技なんて興味もないしやりたいとも思わないほうなのですが、その団体競技のよさというか、そういうものを垣間見せてもらえた気がしてよかったですね。

——それでは、そろそろまとめということで、ブレイヤーの方に、ここを見てほしいというポイントがあれば教えていただきたいのですが。

山本:いや~、私は……なんか、何でしようね。そういうのはないなあ(笑)。いや、とにかく、楽しんでほしいです。私ねえ。こう言うと気障かもしれないんですけれど、いちばんの愛情って相手に何も望まないことだと思うんですよ。相手の自由に、あるがままにさせてあげるのがいちばんの愛情だと思っているところがあって。だからお客さんにも好きに楽しんでいただきたいなと。

——『MM』シリーズ自体が、そういう自由度の高いゲームですしね。

山本:ホントそうですよ。自由度が高くってプレイする人が何しようと勝手というか、死のうが生きようが勝手っていうところがあるじゃないですか。私、『MM3』ですごく印象に残っているイベントがあって、亡くなったアルマって女性の形見の手榴弾を届ける「死者の使者」っていう依頼がありますよね?あれが印象深くて……。あれは受け取った男が死ぬパターンと、生き延びるパターンと結末がふたつあるじゃないですか。あれがなんだか、『MM3』の世界を象徵しているような気がして。今作に関してはあれが本当に印象に残っていますね。

——確かにそうですね。本日はお忙しいところありがとろございました!

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