『メタルマックス3』の最初の企画は、じつは初代プレステ対応だった。いわゆる「次世代ゲーム機戦争」で、プレステが勝つかニンテンドー64が勝つか、まだ結論が見えていなかった頃のことである。
プロジェクトは企画完全先行で立ち上がった。
大まかなシナリオとゲームデザインが出来上がる頃には、ゲーム機戦争の勝敗も見えているだろうから、勝った方のマシンで開発を始めようという目論見だった。だがようやくその結論が見えて来ると、この企画はデータイ —スト株式会社の業績不振のためオクラ入りになってしまった。
つぎにドリームキャスト対応で『メタルマックス・ワイルドアイズ』という新作の企画が動き始めた。雜誌報道もされ、ゲームショウで開発途中のものを出展したこともあるので、ご存知の方もいらっしゃることだろう。フル3Dで表示された「破滅した未来世界」の中を、自由自在に移動できる、当時としてもきわめつきに斬新なRPGが生まれかけていたのだが…。残念ながらこの企画もまた、発壳元の業績不振~事業方針の転換という大渦に巻きこまれ、開発の中断を余儀なくされた。
こうして過去を振り返ってみると、この作品は平成不況のあおりをモロに食らってきたという気がしないでもない。我が子ながら、つくづく不運なタイトルだ。
しかし!押し寄せる時代の荒波をはね返すかのように、ついにシリーズ最新作というべき作品が登場する時が来た!それがこの『METAL SAGA~砂塵の鎖~』である!
『メタルマックス・リターンズ』の発売から、なんと10年。その間、根気強くこのシリーズを支持してくださったフアンの皆さんの熱い声援がなかったら、この復活はあり得なかった。
あらためて、心からの感謝を表明したい。皆さん、本当にありがとう!そして、商標権問題など、さまざまな難問を乗り越えつつ、情热を持って作品を完成させてくれた株式会社サクセスの関係者の方々にも、この場を借りて、お礼を申し上げたい。また、多忙なスケジュールの中、急遽、この作品のために数十曲にも及ぶ楽曲を作り上げてくださった音楽の門倉聡氏、シリーズを通じて膨大な数の原画やデザインを描き上げ、その再使用を快諾してくださった漫画家の山本山本貴嗣氏にも、感謝と、作り手としての敬意を!おふたりの情熱的なお仕事が、このシリーズに与えてくださったものははかり知れない。
諸般の事情により、企画屋としての私自身は、今回は協力といういささか中途半端な形でしかこの作品の制作に関係することができなかった。
けれども、開発スタッフの中には熱烈な『メタルマックス』のフアンもいらっしゃるということで、言うなれば私にとっては初孫のようなもの。
タイトルが『メタルサーガ』に変わると同時に、このシリーズが新たな遺伝子を獲得したものと思っている。もちろんこの作品の発売は、ゴールではない。これからユーザーの皆さんの厳しい審判を受けることになる。それが好評であることを望んでやまないが、今はただ、再びこのシリーズが、そうした審判を受けられる場所に戻ってこれたという感激で胸がいっぱいである。
やつとここまで、たどりつけた!
『メタルサーガ』という名前で奇跡の復活を遂けたこのシリーズが、再びユーザーの皆さんの熱い叱咤激励を受けながら、よりいっそう面白く楽しい作品を生み出しつづけることを願わずにはいられない。
『メタルマックス』の頃からのファンの皆様、『メタルサーガ』からのユーザーの皆様、古くて新しいこのRPGを、どうぞよろしくお願いします!
2005年5月吉日
宮岡寛