Special Interview
METAL MAX -Wild Eyes-
株式会社アスキー
エンタテインメントカンパニー
開発本部
巌 光生(Mitsuo Iwao)
「メタルマックス・ワイルドアイズ」プロデューサーとして作品全体を統括する。過去に手がけた作品は「ヘラクレスの栄光」シリーズ、「メタルマックス」(以上データイースト)、「WIZAP!」(アスキー)などがある。
ファミコンおよびスーファミで、熱狂的ファンに愛された「メタルマックス」が、なぜ今復活したのか?プロデューサーに間く!
RPGが衰退気味に思える今だから「メタルマックス」は復活した
——まずは沈黙を破って「メタルマックス」が復活した理由からお聞かせください。
巌:どちらかと言えば、本作は「ウィザードリィ」のような古典RPGのテイストを持つゲー厶に分類されるはず。「ゲームをやらされる」タイプのRPGが多く、そのジャンルが衰退化してるように見える現在、インパクトの強いRPGを出したいと思ったんです。
——ではなぜドリームキャストなのでしょう?
巌:一言で言えば、広大な3D空間を再現するためですね。この企画が立ち上がった時、それを実現でさるマシンはDCだけでしたし。
——その2Dの様式がファンからも愛されたゲームを3Dにするには、制作者側に葛藤も?
巌:前作のイメージが崩れるというリスクはありましたが、広大なマップを自由に歩けるものを作りたい、という好奇心のほうが大きかったですね。ゲームデザイナーの宮岡氏は、「ドラクエⅡ」のシナリオを書いている時から「3次元のダンジョンで穴に落ちたら……」といったイメージを抱いていたそうですし(笑)。
——3Dになり、より「世界が広くなった」イメージがありますが、それも狙いどおり?
巌:ええ。この広大なマップは「キャラクターが歩くため」に作られているんです。8キロ四方ぐらいのマップをオンメモリで処理していて、見えないところまでプログラム上は“用意”しているんです。世界をもっと区切れば、ポリゴン数もテクスチャの容量も増やせるけれど、それよりもプレイヤーにホンモノの広い世界を提供することを優先しました。遠くにビルが見えたら行ってください。本当に行けます。そんな広い荒野で、隠された宝物を探し出すような要素を味わってもらいたいのです。
——3Dになり、視点の変更も自由ですよね。
巌:視点は、本当に狭いところ以外、すべて変えられます。モノを背後から見てみたい、高いところから下を見下ろしたい、そういう願望を再現するためのシステムです。
——実はネットワーク機能にかんしても何らかの仕掛けがあるのでは?と期待してますが。
巌:今回は見送りました。通信をやろうとすると、もう1つ別のゲームを作るような開発規模になるんです。ただ「VMを使ってデータで何かしたい」ということは考えています。
自分の頭で考えなければ
WANTEDを探し出せない
——難易度は、やはり“高め”ですか?
巌:自由度にかんしてはシリーズ作品と同様、「突さ放し気味」ですね(笑)。「自由にやってくれ」と。ただし、戦車を本当に改造しないとボスが倒せないとか、そういう難易度ではありません。WANTEDを倒したいんだけどうしたらいいのか?それは自分の頭で考えてほしい、という意味のむずかしさですね。
——バトルに時間の流れが影響しますが……。
巌:「メタルマックス2」の時の“戦闘システ厶D”と同じです。次に相手が何をするのか、それを推理しながらにコマンドを入力する、というシステム。ちょっと複雑なジャンケンみたいなもの、と考えてください。
前作の雰囲気を踏襲した「おバカ」な昧も残っている
——では、全体のトーンはどんな感じに?
巌:物語の時代設定は、前作とまったく同じです。イメージはウエスタン、西部劇です。指名手配人物を探しながら、自分で賞金稼ぎになって、広い荒野をさまよう。冒険活劇風ですね。だからサブタイトルに「ワイルド」の言葉を入れました。同時に“作品の隠し味としての”女性っぼさ、潤い、優しさなどを「瞳」という言葉で表現し最終的に「ワイルドアイズ」というサブタイトルになりました。
——ちなみに、ほかのサブタイトル候補は?
巌:これは実話ですが(笑)、「メタルマックス〜夢戦車〜」なんてものもありましたね。戦車に電飾とか、いかにも「男一匹」という感じのカザリも付けられるんで“テコトラっぼく”これもありかなぁと(笑)。あと「なまりたけ」とか、バトカーのサイレンとか、竹やりも。
——改造車コンテストもできますね。ドリマガで連載コーナーを立ち上げましょうか?巖プロデューサー公認、ということで(笑)。
この作品には、カキワリに描かれた風景はありません。ビルも山々も、すべてそこまで行くことができるのです。