宮岡寛氏インタビュー

『メタルマックス』シリーズと言えば、生みの親であるこの人をおいては語れない。今回『メタルサーガ』でも、協力として參加されたゲームデザイナー・宮岡寛氏に、その舞台裏や本作の魅力などを、じっくり語って頂こう。

――まず、今回の新シリーズに関わられたきっかけについて、教えて頂けますか?

宮岡:話すと長いんだけどね(笑)。まあ、FCやSFCで発売されていた『メタルマックス』シリーズについては言うまでもないことですが、その権利を持っていたデータイーストさんという会社が倒産してしまいましてね。その直前に、クレアテックのあずかり知らぬところで『メタルマックス』のライセンシーをもらっていた会社が何社があって。
そこから先は、破産管財人さんと相談したんですが、結局『メタル~』の権利を、クレアテックで買わないか、という話になったんですよ。でも高い。それに、一緒に組んで作ってもらえる会社も見っからない…というところで、ある会社が商標権を申請しちゃった。これは静観するしかないな…と思っていたら、サクセスさんが、勇気あるご決断をされたということですね。

――宮岡さんが参加された時には、かなり開発は進んでいたのでしようか?

宮岡:そうですね、アルファ版までは(※01)できていました。まだ入れていない街なんかはいくっかあったけど、基本的に動ける状態になっていましたね。
ただ曲の方は、まだ加えられる余地がありました。で、門倉さんの曲をアレンジをされていたんですが、彼の曲を使いたいならこの際、新しく作ってもらおう、その方がファンも喜ぶ、ということで入れてもらったんです。かなりタイトなスケジュールだったけれど(笑)。

戦車は3D、数珠つなぎで疾走!

――まず最初に新作をチェックされて、感じられた印象は?

宮岡:絵がちょっと違うな、と。まあ、キャラクターの方は山本さんの絵じゃないので、別物になるのは仕方ないとして、ポリゴンになったモンスターが、ちょっと違う感じでしたね。山本さんは武器類にも詳しいし、科学的知識も豊富だから、デザインすると内部の構造まで、きっちり作ってしまう。そういうのに比べると、今回のはちょっとファンタジー入っていて、「萌え」な感じですか。『メタルマックス』シリーズは、いわゆる「男の、鉄の」という乾ききったイメージでしたからね。

――ゲームするユーザーの志向も、変わって来たのでしょうか。宮岡さんとしては、どんなリクエストを?

宮岡:このゲームは、ある意味で孫、という感覚なんですよ。自分の子ならともかく、人様の子から、教育方針に口出しできないでしょう。一応、シナリオを説明してもらってから、大枠部分で若干のリクェストは、汲んでもらったかな。デイテールに文句をつけて「じゃあ、アンタが書いてくれ」という話になっても、ね(笑)。今回は孫がどんな風に育つか、見せてもらいましょうというスタンスでしたね。

――大枠のリクエスト、というと?

宮岡:最初は、もう一度世界を破滅させる、というシナリオだったんです。でも、もう既に世界は破滅しているから、もう一度と言われても「はぁ?」みたいなところがあったんで、今回はとどめを刺す、という風に話を持って行ってくれ、と。ノア(※02)の手先が動いているとしたら、世界は大まかに破壊したけれど、それでもちょこちょこ動いている人類がいるから、1個1個潰すんだ、という感じに変えてもらいました。キャラクターなんかに関しては変更ありません。システムは、うちで『メタル~』のチーフをやっていたメインプログラマーと相談して、コマンドのデザインをある程度変えてもらいました。だいぶスッキリしましたね。

――細かいシステムは旧作かなり違いますね。

宮岡:前のを下敷きにはしているけど、サクセスさんのオリジナルの部分も多いですね。細かいところではかなり別物になってます。たとえば高々度とか地中、水中という範囲があって、それに対応する武器でないと敵に当たらない。アイテム合成なんかもある。それに装甲タイルがやたらと高い(笑)。

――戦車も3Dで数珠つなぎで走ります。

宮岡:うん、そこは僕の感動したところ!だいたい『メタル~』でリアルな戦車を出そうとすると、ポリゴンやテクスチャーをたくさん使う。乗らないかも知れないのに、メモリを確保しておかなきゃいけない。どうしても犠牲にする部分が多くて、難しいんです。
サクセスさんは今回ゲーム性を重視して、ある意味背景なんかを犠牲にしても、戦車をリアルタイムで3台出した。大英断ですよね。連なって走ると、本当に気持ちが良いんだよね!それと、戦車の装備を変えると、すぐ姿形が変わるじゃないですか。才モチャをいじって遊ぶというか、箱庭にラジコンを持ち込んだ感じ。あれもすごく楽しいよね。

「孫」のコダワリはスゴイ

――そのほかに、システムとして気になった点はいかがですか?

宮岡:うーん、レベルがすぐ上がる点かな。強いモンスターを倒すと、すぐレベルアップするから、育て上げる楽しみがちょっと少ないような気がする…。

――逆に、キャラがよく育つ分、戦車の装備に集中できる、という利点もありますよ?

宮岡:ただ、高々度とかの仕組みが入った分、対応する武器はバリエーションが少なくなりますね。ゥヶ狙いに徹するなら別だけど、実用性を考えると、形とか組み合わせは決まってしまう。とはいえ、仕組み自体は良く出来ているんですよ。バリエーションの問題なんか、手間を増やせば解決するんだから、この仕組みを生かして、より手の込んだ作品を作りましょうよ、と提案しているところなんですけどね。

――他にお気づきになった点は?

宮岡:人間がちょっと強すぎ、かな。戦車では入れないダンジョンなどに宝箱を取りに行くときの「恐さ」も、『メタル~』の醍醐味だったからね。今回は敵によっては人間で戦った方がいい場合もあるでしょう。装甲タイルも減らないし。ただ、犬が今回、死ににくくなったのは良かったんじやないかな。
シナリオ的には、フリーシナリオになっていて。自由度は高いけど、それぞれのイベントがあまりつながってない。TRPG(※03)のノリなのかも知れないね。
ただ、「萌え」というか、オタク的なコダワリは徹底してる。

――まんべんなく、キヤラに衣装が贈れますし、衣装替えもできますからね。

宮岡:そう、あそこは僕も感動したところですね。戦車のモデルのバラエティ同様に徹底してる。さすが孫だな、ゥチの子とはひと味違う徹底ぶりですょ。

――では、今後の宮岡さんとしてのシリーズ展開を考えると、いかがでしょう?

宮岡:さっきも話したけど「戦車3台が連なって走る」と、そこには何か別のパワー、オーラを感じるんですよ。暴走族も1台じやなく、ツルんで走ると独特の何かが出てくるでしょう(笑)。今後どういう形になるにせよ、このシステムは生かしてほしいですね。

――最後にファンの方へ一言お願いします。

特に古いファンの方は、装甲タイルが高い、とかいろいろ驚かれたと思いますが(笑)、僕としては荒野を疾走する快感には感動してるし、自由度が高いので、お仕着せのストーリーじやなく、いろいろな楽しみも見つけられるゲ一ムだと思ってます。積極的に遊んでもらえればうれしいですね。今後も、応援よろしくお願いします。
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(※01)アルファ版
データが完全に入っていない状態、パラメータ調整ができていない状態で、基本的なゲームシステムが稼働できる(遊ぶことも可能)状態の開発途中のパージョンを、俗に「アルファ版」と呼ぶ。
これに対して、データも一通り入っており、デバッグや調整(パラメータ調整)が未了のパージョンは「ベータ版」と呼ばれる。
このベータ版に、調整やデバッグ(バグ取り)行程を経て、完成させたパージョンが「マスター版」つまり完成品、となる。

(※02)ノア
旧作『メタルマックス』シリーズ登場の巨大コンピュータ。世界を破滅させる元凶ともなった「大ボス」的存在でちある。

(※03)TRPG
テーブルトーク・ロールプレイングゲームの略。
コンピュータRPGと異なり、ゲームマスターとプレイヤー(複数)の間で作り上げていく一種のパーティゲーム。

今回の『メタルサーガ』は、僕にとっては「我が子」ではなく人様に育ててもらった「孫」なんだ、と考えています。それもかなりオタク性に徹した孫、ですね!

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