インタビュー:ゲームデザイナー・宮岡寛☓ディレクター・田内智樹

[熱い想いを秘めた無邪気な男たち]

『メタルマックス3』開発スタッフの中心的存在がゲームデザイナーの宮岡寛氏とディレクタ一の田内智樹氏。シリーズファンならご存知のとおり、両氏は1作目からこの作品に深く関わる『メタルマックス』の産みの親だ。今回は、2時間以上にもわたるロングインタビューの機会をもうけ、過去から現在までの興味深い開発裏話を聞かせていただいた。

——『メタルマツクス(以下MMと略)2』から、じつに17年ぶりの『MM3』ですが、シリーズ通して世界観が特徵的な作品ですよね?

宮岡:そうですね。狂ったコンピュータ、ノアに人類が滅ぼされたあとの世界です。ただ1作目から3作目までの世界は、僕としてはパラレルな繫がりだと考えています。

——それぞれ別な世界という感じですか?

宮岡:違う時間軸の世界、という解釈でいいと思います。いまから近い将来、99.9%の未来で大破壊は起こっているけれど、ある未来では『MM』の出来事が、ある未来では『MM2』の出来事が起きていると。『MM3』もそのひとつという感じです。

——いずれにせよ、かなり過酷な世界ですね?

宮岡:ゲームの中では直接語っていませんが、大破壊後のあの世界に生まれた人々は、平均寿命が50歳くらいだと考えています。大破壊まえからの生き残りは、けっこうしぶとく長生きしていますが。まあ、あまり細かく考えてないです。あくまで漠然とした感じで(笑)。

——いえいえ、十分練りこまれた世界だと思います。やはりSFがお好きなんですか?

宮岡:僕は中学、高校のころから大のSFファンだったんですが、当時SFでは破滅モノっていうのが流行っていて、そのころから破滅した近未来っていうものが好きで。『MM』を作るころも『マッドマックス』とか『北斗の拳』とか、破滅モノ好きにはたまらないものがありましたし。また、ちょうど私も『ドラゴンクエスト』も手がけていて、ちょっとファンタジーじゃないものがやりたくってSFにしようと。

——SF作品のモチーフが多いですよね。たとえば渚のバンガローの光景は、核戦争後の地球を描いた映画『渚にて……』を思い出すんですが。

宮岡:ああ、あれは意識してますねえ(笑)。

——では、コーラが獣人化するのは、人間が改造されて獣人になる『モロー博士の島』?

宮岡:そこまでは意識してないです(笑)。

田内:コーラが獣人化するのって、最後の最後まで決まってなかったんですよね。

宮岡:土壇場で山本貴嗣先生にデサインをお願いして。もともとコーラのデザインは廣岡政樹さんにお願いしていたので少し頼みにくかったのですが、山本先生に快諾していただいて。

田内:じつは微妙にコラボしてるんです(笑)。

——ゲーム内にデザイン担当の方が廣岡さん、山本さん、紀世俊さんと3人もいらっしゃって、よくまとまったなあという感じがしますが、やはり宮岡さんの力量でしょうか?

宮岡:僕はあまり統一するのって好きじゃないんですよ。乱れているのがちょうどいいというか。アイテムの入手やWANTEDモンスターの出現ってランダム性が高い仕様にしていますが、あれも100%というのが好きじゃないからです。シナリオもそうで、あまり完璧は好きじゃない。少し破綻があるくらいがいいかなと(笑)。

——それぞれのデサイン担当のみなさんは、宮岡さんが指名されたんですか?

宮岡:キャラクターデザインの廣岡さんにはこちらからお願いしましたね。紀世さんは開発のキャトルコールさんからの紹介で。メカが描ける人がいるということで、参加していただきました。山本先生にお時間があれば理想的なんですけれどね。人物が描けて、兵器や武器もマニアとタメを張れるほどの知識がぁって。

——SFにもお詳しくて。

宮岡:そうそう。もともと僕がSFマニアになつたのは彼の影響ですからね(笑)。

——幼なじみだとお聞きしましたが?

宮岡:初めて会ったのが小学校6年生のときで、そのころはまだSFとか知らなかった僕に、「こういうおもしろいものがあるよ」と誘ってきて。隣の少し大きな町までふたりで行って、「SFマガジン」って専門誌のバックナンバーを買ってみたり、SF全集を探したり。恥ずかしながら、世界最長の連載SFというのでギネスにも載っている『ペリーローダン』っていうシリーズがあるんですが、僕はそのファンクラブに入っていました(笑)。

——『MM』の世界観は、筋金入りのSFファン魂の賜物ということですね?(笑)

宮岡:そうですね(笑)。

——田内さんはSF方面は?

田内:私はトレッキー(「スタートレック」のファンの総称)ですね。「ネクストジェネレーション」からのファンなんですけれど。あとは「ゴジラ」みたいな特撮映画でしょうか。

宮岡:東宝の特撮映画っていうのは僕らの世代にも染み付いていますね。

——ちなみに初めて見た特撮映画は?

田内:僕は映画館では『ゴジラ対ガイガン』とかですかね。あと『ゴジラ対へドラ』とか。

宮岡:僕は中学生のころまで住んでいた家の向かいが映画館だったんで、そこで幼稚園のころに見たのが最初ですね。何だつたかな……『フランケンシュタイン対バラゴン』かな?最後に意味もなくタコが出てきてエンディングとかいう超展開で。ちょっと怖かったですね。

——もしや、『MM3』のバイオタンクのタコや、敵のなんたいキャノンは……。

宮岡:あー、影響があるかもしれませんね。刷り込まれていますから、トラウマが(笑)。

——戦車も、今作ではかなりマニアックなチョイスですね?

宮岡:インターネットのおかげですかね。いまは「戦車」で検索すると簡単にいろいろ調べられますし。その過程でMBT70(今回のMBT77のモチーフ)も知って。才ブイェークト(ラスプーチンのモチーフ)も、知り合いから「YouTubeにおもしろい戦車が上がってるよ」と聞いて、見たら「何だコリャ」と(笑)。昔は本格的に調べようとすると、すっごく高い資料本を買わないと写真1枚すら見られなかったものが、いまは動画で見られたりしますから、すごい時代だなと。ありがたいことですよね。

——今作の戦車のセレクションのテーマは?

宮岡:この世界が現在とパラレルだっていうのを過去作よりも意識していますね。僕らがいるこの世界では試作機段階で開発が中断した戦車が、『MM3』の世界ではちゃんと量産されて使われていたというイメージを出してみた感じです。

——ほかにSF系で意識したものはありますか?

田内:マスドラ研とかそういう感じでしたね。あとは軌道ステーションとか。

宮岡:今回マップが3Dだったので、単純に高さがあるものがおもしろいんじゃないかと思っていたのもありますね。あとは工場遺跡も最近エコで話題のバイオエタノールを作っていた工場という設定ですよ。あ、そういえばイービル不動産って原野商法の悪徳不動産だったんですが、カスミの父親がその原野商法に引っかかった男という裏設定を考えていましたね。本編でぜんぜん触れていませんが(笑)。

——そんな設定が!?没になつて残念ですね。

宮岡:今回、シナリオを選択肢でいろいろ分岐するようにしたら、すごく膨大になっちゃって。残念ながら切つちゃいましたねえ。

——確かに選択肢ごとに、細かく相手のリアクションが変わりますよね。

宮岡:今作の開発のまえに1、2作目をやり直してみたんですが、いまやると「はい」と「いいえ」だけの選択肢が少しタルかったんですよ。かといっら影響が出るようにもしています。

——笑える会話も多くて楽しいです。

宮岡:笑えるという点も、大事にしていきたい『メタルマックス』の個性のひとつです(笑)。

——ではキャラクター造形や細かいシナリオに関することも、お聞きしたいと思います。

宮岡:今回は“変形”や“変身”というのを作品のテーマにしていました。たとえば敵のユムボマでいうと、戦っていると壊れて形が変わって、もう少しで倒せるということが分かるとか。あと主人公も変身しますし、グラトノスも「しつこいなコイツ」ってくらい、いろいろ変わりますし(笑)。

——順番としては、最初にキャラクターの設定を考えて、それからシナリオを作るという感じですか?

宮岡:ですね。グラトノスの設定は最初に考えましたし。もともと『MM2』より、もっと話を濃くしてストーリー性を持たせたかったんです。あまり自由度が高くてユーザーさんを放り出すと、迷わせてしまいそうだったので……。敵がグラトノスで、主人公の復讐話で、コーラというヒロインが絡むと、そういう大筋だけを最初に決めていました。

——なるほど。もうひとりのヒロインのシセは?

宮岡:シセはもつといろいろやりたかつたですね。インターネットで、「彼女に服を買ってあげたい」って意見を見たんですが、最初はそのつもりだったんですよ。どこかいい服見つけてシセに贈るというイベントを予定していたんですが、メインシナリ才が膨大になりすぎてカットになっちゃいました(笑)。

——最初から重要なヒロインだったんですね。

宮岡:シセのようなタイプが好きという方も多いでしょうから、インテリアもコーラとシセ、どちらに贈るかはおまかせと。滝の水浴びイベントも、綺麗なシセの姿を見た主人公が、その延長線上で服を買ってあげるって流れにしようと考えていた名残なんです。あとはワラの好感度を上げるといろいろなことが起きて、シエルタの味方かワラの味方かで話が分岐するとかも考えていたんですけれどね。

田内:シエルタに忍び込んで何かするイベントは、いま残っているメロウィンを運ぶ依頼のほか、あとふたつぐらい考えてあったんですよ。

——嫌がらせクエストですね(笑)。

宮岡:没になったイベントで気に入っているものに、アラモ=ジャックに腐ったメロンを投げつけるってのがあって(笑)。それ奥方に依頼される予定だったのにカットになっちゃった。

——それだけカットされても、今回のイベントは濃いですよね。コーラとの再会イベントなども、かなり書き直されたと聞いていますが。

宮岡:コーラのイベントと、煮えカカシのイヴリンのイベントは悩みましたよ。バイクを盗んだコーラはどうやって謝るんだろうとか、アルメイダを倒したあとイヴリンはどう反応するだろうかとか……。コーラのほうは、彼女は本当はいい子だということを知らせてあげたくて、それが前半とのギャップでいい感じになるんじゃないかなと。

——再会したときにドラム子って名乗るのがかわいいですよね。ケン力別れしたはずの主人公の名前をもじって偽名にしているのが。

宮岡:あそこは自分でも気に入っています(笑)。あれはコーラが世間知らずで上手く偽名が思いつかなかったというのと、あとは最初に家の下のボート小屋にいる男とプレイヤーが話したときに、すぐにコーラがいると気づかせたかったって事情があるんですよ。で、それにはどういう名前にしようかと悩んでいるうちに、「あ、ドラムカンだ!」と。

——そういえば主人公が、選択肢でやたらキスをしたがるという傾向がありますが……。

宮岡:いや、わりと硬派な選択肢も用意しているんですけれど、みなさんキスしたがるみたいで。まあ、キスってあれば選択しちゃいますけどね(笑)。それもユーザーさんから指摘されていましたよ。重い話のわりにはナンパな主人公だよなと……。

——自分が極悪な連中の仲間だったかもしれない、という状況で「キミかわいいね」ですから。

田内:なんせ記憶がないこともあって、彼はぜんぜんトラウマがありませんからね。だから能天気なんですよ、悩みがなくって。

宮岡:もし僕が記憶をなくしても、きっとあんな感じですよ。記憶がなくてもそんなに困らないんじゃないかなと。最後、主人公に記憶を取り戻させるかどうかも悩んだところです。結局、記憶はそのままで、話も終わらせましたし。

——そういえば、ゲームの2周目についておもしろいアイディアがあったとのことですが?

宮岡:最初の予定ではブレードトゥース(1周目の主人公)がNPCになって、それを2周目の主人公がながめるという形にしたかったんですよ。ブレードトゥースがコーラに捨てられる様子を横から眺めたり、主人公と別れたコーラがどうしていたか分かるような仕様にしたかったんですけれど、それも諸般の事情でお蔵入りに……。

田内:本当は2周目の主人公が、逃げたコーラを手伝っているって設定だったんです。コーラがジャンプキャンプでバイクを売り払ったあと、プエルト・モリに連れて行ってあげたのは2周目の主人公という予定で……。だけど、時間とロムの容量の問題でねえ(笑)。

宮岡:考えなくていいことをいっぱい考えますからね(笑)。考えたぶんのたぶん3割くらいしか実際のゲームとして実現できてないよね?

田内:毎回そうだよね。毎回やりすぎて全部アイディアが入った試しがない(笑)。まあ、それぐらいでちょうどいいんですよね。たくさん考えて、いいところだけを使うっていうのが。

宮岡:煮え力カシのイヴリンなんかも、もうちよっと話に絡ませるつもりだったんですけどね。

——シセもイヴリンも、ドット絵だけしかないのがもったいないくらい魅力的なキャラクターですからね。でも、そこが逆にユーザーの想像力を刺激したという部分もあるんでしょうか?

宮岡:僕は日本人って記号操作の達人だと思っているんですよ。何かを記号化したり、記号化されたものから想像をふくらませたりする。漫画が日本で進歩したのも記号操作にすぐれているからだと思っているんです。ドット絵のゲームも記号情報から補完している感じですよね。

——確かにそうですね。それに『MM3』ではドット絵の小さなキャラクターがよく動きますし。

田内:グラフィック担当のキャトルコールさんが頑張ってくれましたね。

宮岡:あれビックリしましたよ、主人公がシセに飛びついて助けるシーン。何も注文してなかったのにここまでやれるの?って。

田内:キヤトルコール・クオリティですね。

宮岡:僕の指定だと、助けに行く方向の矢印指示か書しあるだけでしたもん。

田内:じつはほかにも、キャトルコールさんが描いてくれたグラフィックはたくさんあるんですが、残念ながら容量とかの問題で入れられなかったものもありましたね。

——やはり容量の問題は大変ですか?

宮岡:大変です。

田内:クルマの色ももっと入れたかったですし。

宮岡:何の漢字使うかの会議もやったんですよね。余分なフォントが入れられなくて。

田内:ダンジョンも3つくらいなくなりました。

宮岡:まあ没になったものも、いつかどこかで登場するかもしれませんが(笑)。

——では、少し話題を変えてダンジョンのデサインの話をお聞きしたいのですが。

田内:ダンジョンのデザインは、仕掛けも含めてすべて私が担当ですね。マップが3Dポリゴンで作られているのを活かした、ほかにない新たなギミックを入れるように気をつけました。あ、でもプエルト・モリの下水道の場合は少し違って、『MM1』にも同じような仕掛けの下水道があったのを、ポリゴンだとちゃんと水の増減まで見せられるので、シリーズファンに違いを見ていただこうとリメイク的にやってみました。

宮岡:ちょっとやりすぎたけど(笑)。

——ダンジョン内を完全に攻略するのが大変でした(笑)。マユラーはまだしも、奥の宝箱を取るためのスイッチの切り替えが大変で……。

田内:じつはもともと、ダンジョンの全体図が見られるサブマップを導入予定だったんですよ。それを見ていれば難度はそれほどでもないはずだったんですが、それがなくなってしまって。

宮岡:本当は、マユラーは下水道のもっと奥にいるはずだったんだよね。

田内:そうそう。急遽手前に移したんですよ。宮岡:下水道には戦車を降りて入るから、帰りたくっても帰れないし。僕もクリアできなくって(笑)。マユラーまではすんなり行けるように変えたんですよね。

——プエルト・モリの町自体が広いですしね。

田内:てんこ盛りすぎますよね(笑)。あの町は長崎がモデルなんてすよ。眼鏡橋とかを3Dにしたらおもしろいだろうなと思って。じつはダンジヨンは、私が旅行で行った場所がアイディアになっていることが多いんです。

——たとえばほかには?

田内:五稜郭とか。

——あ、シエルタですか!?

田内:みんなペンタゴンだと言っているけどじつは五稜郭なんですよ。あとは、ソンブレロ・ビルの地下は名古屋とか福岡の地下街ですね。

——ドゥーム球場は?

田内:あそこはおもに福岡ドームがモデルになっています。ほかにも名古屋ドームやアメリカのとある球場もモデルですね。でも大変なんですよ、球場って資料がなくて。一般人だと、選手用のロッカールームやVIPルームがどうなっているのか知りようがないですから。

——なるほど。けつこう大変なんですね。

田内:この世界が完全に空想じゃないというのが、ほかのゲームより大変なところですね。現代にある建物をダンジョン化した設定ですから。

宮岡:普通のRPGだとこんなに簡単に階段が見つかりませんよ(笑)。リアルな建物に近いですから階段も行きやすいところにあるんです。

田内:だから、それをダンジョンにするのが大変なんですよ。そのままだと簡単に全フロアに行けてしまうので、床を抜いたり天井を崩して複雑にしています。その集大成のダンジョンが、エルルースタワーですね。

——シエルタもおもしろい構造ですよね。普通にエレベーターで降りることもできますけれど、コーラがさらわれてすぐに行くと捕まって、脱走ルートがダンジョン化するという。

宮岡:コーラに逃げられたあと、「プレイヤーはどうするだろう?」って考えると、シエルタに帰る人もいるだろうなと思って。

田内:で、帰ったら捕まるよねと。捕まったら拷問部屋に入れられるよねと(笑)。

——ワナですね(笑)

宮岡:あの拷問のせいでゲームのCERO指定が上がったみたいなんですけれど(笑)。

田内:わりと必然性を考えているんですよ。こうなったらこうなるよね、そうするとこういう仕掛けが必要になるよね、とか。

——ではシステムの細かい部分についてお聞きします。今回はプレイヤーキヤラクターに新しい職業が何種類か追加されていますが。

田内:ナースはすぐ決まりましたよね。

宮岡:人間の回復役がいませんでしたからね。レスラーは、ソルジャーと違う種類の戦士系がいると遊びの幅が広がるんじゃないかなと。それで、ほかのRPGにあまり出てこないものにしようと。最後に決まったアーチストもそうですね。

——男女を選べるというシステム?

田内:それは最終的には無理ならあきらめるつもりだった要素ですね。それも何とかキャトルコールざんがやってくれました(笑)。キャラクターメイキングができるゲームで職種が6つというのは、じつは少ないんですよ。だから男女も選べないと、キャラクターを作る楽しさがなくなるんじゃないかということで入れたかった仕様ですね。

宮岡:あと最初は2周目で主人公を外せる予定だったので、男女が選べるほうがいいだろうと。予定では、2周目の主人公はハンターで男女選べるようにしたかったんですが、結局それがなくなってハンターの影が薄くなってしまい、申し訳なかったです(笑)。

——ハンター、強いんですけれどね。あと生身の強さでいえばレスラーが目立ちますね。

宮岡:レスラーに関しては、特技をたくさん用意しても活用しない人が多いんじゃないかなと思って、逆に特技メインで戦うような職業を作りたいなと思って出しました。

田内:じつはレスラーって系統的には魔法使いなんですよ。特技は魔法で、それを使うと大ダメージと。肉弾的な魔法使いもいいかなと。

宮岡:あとは、新しい要素としてはバイクが意外とよかったですね。最初は心配していましたが、クルマに乗りながら人間用武器が使えるメリットがつけられたんで。

田内:戦車と同じエンジンが積めるし(笑)。

宮岡:いや最初はエンジンを別にしようかとも思ったんだけどね。常識的に積めないだろうと(笑)。ただそこでリアルを追求するより、ゲームとしておもしろくしないとダメだろうということで。『MM』はもともと無茶苦茶ですからね、いくら戦車とはいっても、現実で大砲を5本積むとかはありえないし(笑)。

——プレイヤーのゲームの進め方によっては、シャシーが軽いぶん、バイクが戦車よりもSP高くなったりしますし(笑)。

宮岡:それは1作目から指摘されている問題で、それを打破する意味で、今回のダブルエンジンという新システムなんですよね。

——あとは改造のシステムですが、今回は樹形図式で成長させるように変更されましたが?

宮岡:3Dだとモデルの関係もあって、前作までのように改造が自由すぎると収拾がつかなくなるので、整理しやすいようにという狙いですね。

——あとは、改造したクルマを前の段階に戻せれば、いうことなかったんですが(笑)。

田内:いや本当は戻せる仕様にするつもりだったんですよ。それも諸々の事情で……(笑)。ギリギリまで頑張ってみようとも思ったんですが、強行すると穴を戻したときに装備品が消えてしまう不具合が出る可能性があるということで、それだけは避けなければいけないと……。

——また、犬がアクセサリー扱いではあるものの乗り物に乗れるようになったことも、ありがたかったことのひとつですね。

田内:昔はすぐに死んでましたからねえ、犬。

宮岡:でも、敵の壁に向かってじゃれついているのを見たときには、本当に使えるのか半信半疑になったけど(笑)。

田内:犬のAIは、やろうと思えばいくらでも賢くできるんだけれど、賢すぎると特定の行動しかしなくなったりで、戦闘でのおもしろ味が薄れてしまうんですよね。

宮岡:うん。画面に向かってツッコミ入れたくなるぐらいがいい。そのへん僕の趣味なんで。

——バカな子ほどかわいいという感じですかね?プレイヤーによっては主人公+犬3匹というバーティも人気があるみたいですよ。

田内:それは「誘惑」を使ってくる敵に苦戦しますね。犬は自分であやつれないので、主人公が魅了されるとゲーム才ーバーですから。コーラが最大の敵になるんじゃないかな?コーラの誘惑は主人公に効きやすくできているんで。

——そ、そうなんですか!?

——それではおふたりに、『MM3』のお気に入りの部分をそれぞれ教えていただきたいのですが。

宮岡:うーん、キャラクターでいうとコーラはけっこう上手くいったかな。あと個人的にはグレートキヤノンで出会うナースのアデルがすごい好きなんです。あれはシナリオ書いているうちに気に入って、いっそ仲間にできるようにしようかとも思ったんですが(笑)。思想としゃべりがイカレてていいですね。

田内:私はホホアナにいるドランクやガントー二、ニセンイチローにメモリーセンターの娘が好きです。あそこで急にヒューマンな話になって、“生きてる”って感じがするんですよね。

宮岡:あそこは僕らでやり取りするあいだに、どんどんいい話が増えていったよね。

田内:あとシステム面で、クルマに「ラッシュ系」の特性を入れられたのはよかったですね。あれで戦闘が変わったかなという感じです。

——では、最後に『MM』シリーズでの今後の目標とかがありましたら……。

宮岡:とりあえず改造に関しては、前の段階に戻せるようになります!(笑)

——おお!

田内:……きっと(笑)。

宮岡:とにかく、ユーザーがもっと世界をいじれるようにしたいんです。で、それぞれ自分のゲームスタイルで冒険できるようにしたいですね。もしつぎがありましたら、17年間の愛に応えるためにも、もっともっとおもしろい作品にしていきたいと思います。

田内:けっこう辛いバランスで苦労が耐えないゲームですが、その先に見えるものが楽しかったりするんで頑張ってプレイしてほしいかなと。

——期待しています。本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました!

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mms/archives/mm3_creator_interview_01.txt · 最后更改: 2021/04/30 16:30